「こうする」


といった途端、


「……っ!?」


抱き抱えられる。


「はなし……」

「じっとしていろ。落下してつぶれたくなければな」

「つぶれ……えぇえ!?」


わたしは


宙に、浮いていた。



(た、高いっ……! 怖いぃぃ!?)



さっきまで自分が立っていた場所が、みるみる遠くなる。


学校の近くを走っていた車が、アリみたいに見えた。


「とっ……飛んで……るぅ!?」


髪、耳、瞳


セロの姿形が変わっている


一瞬のうちに


大きな黒い翼のはえた、悪魔になってしまった――。