【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。



「どうしたの?」


――――気づかれた


黒羽根くんと、目が合う。


女の子を自分の胸に抱き寄せ

視界をふさぐと


こっちを見る、黒羽根くん。


【失せろ】


そう、言われている気がした。


「どうしたの?」

「んーん。なんでもない」


わたしから視線をそらし

女の子を見つめ、柔らかく微笑むと


「まだ、食べていい?」

「うん」

「ほんとに?」

「やめないで」


また、女の子にキスをした。


あの子は生気を奪われているの?


このまま死んだりしないよね?


「……っ」



慌てて、その場から離れる。


……ダメだ。


走ると、フラつく。


教室で鞄を手にとると、今度は、D組の前を通らずに靴箱へと向かった。