「どうしたの?」
――――気づかれた
黒羽根くんと、目が合う。
女の子を自分の胸に抱き寄せ
視界をふさぐと
こっちを見る、黒羽根くん。
【失せろ】
そう、言われている気がした。
「どうしたの?」
「んーん。なんでもない」
わたしから視線をそらし
女の子を見つめ、柔らかく微笑むと
「まだ、食べていい?」
「うん」
「ほんとに?」
「やめないで」
また、女の子にキスをした。
あの子は生気を奪われているの?
このまま死んだりしないよね?
「……っ」
慌てて、その場から離れる。
……ダメだ。
走ると、フラつく。
教室で鞄を手にとると、今度は、D組の前を通らずに靴箱へと向かった。


