――――今の、声 「夢みたい」 「夢じゃないよ。君のこと、前から可愛いなって思ってた」 「ほんとに?」 聞き間違えじゃ、ない。 中にいるのは、あのひと。 女の子を教卓に座らせ 向かい合うように立った黒羽根くんが 「お願い。もっと」 「僕のことそんなに好きなんだ?」 「……うん」 女の子と、甘く口づけを交わしている。 教室に鳴り響くリップ音がこっちにまで聞こえてくる。 見ちゃダメ。 覗いちゃいけないって思うのに 「あんまり僕のこと求めすぎて――飛んじゃっても知らないよ?」