【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。




――――今の、声



「夢みたい」

「夢じゃないよ。君のこと、前から可愛いなって思ってた」

「ほんとに?」



聞き間違えじゃ、ない。


中にいるのは、あのひと。


女の子を教卓に座らせ

向かい合うように立った黒羽根くんが


「お願い。もっと」

「僕のことそんなに好きなんだ?」

「……うん」



女の子と、甘く口づけを交わしている。


教室に鳴り響くリップ音がこっちにまで聞こえてくる。


見ちゃダメ。


覗いちゃいけないって思うのに


「あんまり僕のこと求めすぎて――飛んじゃっても知らないよ?」