【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

「あなたなら。セロとうまくやっていけそうな気がするなあ」

「え?」

「だって。セロの前で自分の意志を貫ける人間なんて――」



――ガラガラッ


「ケガしちゃったー!」


保健室に入ってきたのは、

女子生徒だった。


「如月先生~? いないの?」


カーテンの向こうから、先生を呼ぶ声。


「はいはーい。ちょっと待ってね?」

「練習中に突き指した」

「あらあら」


如月先生がカーテンを開けて、外に顔を出す。


そして、こっちを振り返った。


「あなたが、ちょーっとキスしてあげれば、あの子は元気になると思うけど。まぁ、あなたにとっちゃ迷惑でしかない話かしら?」

「……キスは。好きな人とするものです」

「信じたいものを信じなさい。すべては、あなた次第。今聞いた話は、保健室の先生の戯言(たわごと)だって思って……忘れてくれてもかまわないわ」