【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

「柚月さん。ライオンは〝百獣の王〟なんて言われて完璧に振る舞っているけれど、優しくて甘えん坊さんなのよ」


……え?


「あの子は弱みを見せない。虚勢張ってんのよ。本当は、凄く寂しがり屋のくせに」


あの傍若無人な悪魔が、寂しがり屋?


「セロが食事を極端に控え始めたのは、入学してすぐのこと。あんなになるまで食事を我慢しないで、とっとと腹ごしらえしちゃえばいいのに。衰弱していくセロなんて見ていられないわ」


――スイジャク?


とてもそんな風には……


「さっきあたしがセロを止められたのは。はらぺこだったから。そうでなきゃ。あなたを襲っていたわね」

「……先生。その。"腹ごしらえ"っていうのは」

「特別大サービスで、教えてあげる」


悪魔はどうやって食事するの?


「キスよ」