【番外編5/3UP】その王子、はらぺこ悪魔につき。

ブラウスのボタンをあけると、胸元に、幻の中で見つけたマークと同じものがハッキリと浮かび上がっていた。


「あらあら。随分と大きなものつけられたのね」


記憶が、よみがえってくる。


「昼間。悪魔みたいになった黒羽根くんに、このあたりに手をあてられて。燃えるように熱をもったんです」

「あの子。姿まで晒したのね」

「これが。"シルシ"?」

「そうよ。あなたがセロのものって証」


勝手に人を所有物扱いするな。


「……ちなみに。洗って消えたりは」

「しないわね」


ですよね。


「それをつけることができるのも。消すことができるのも、本人だけ」

「消してもらえるんですか……!?」

「セロにその意志があればね」


無理だ。


あの悪魔、わたしのこと"極上"とか言っていたから。