――ドクン


「他の餌なら幾らでもくれてやろう。ただし。刹那だけは手を出したら赦さない」


女の子としてなんて、見られていない。

エサ呼ばわりされているのに――


「もっとも。そうできないようにしているがな」


……ヘンに特別扱いしてくるの、やだ。


「印。つけちゃったか」


――シルシ?


「そこまで大切な子なんだ?」


大切な子……?


「勘違いするな。極上の餌、というだけだ。それ以外の感情などない」


極上の……エサ……。

うれしくない。


「ふーん?」

「まだなにか言いたげだな」


黒羽根くんが、眉をひそめる。


「相手がセロってのは置いておいて。食べられるなら。もっとシチュエーションにこだわって欲しいわよね?」


ニコっとこっちを見て笑いかけてくる、如月先生。


いやいやいや。


女ならわかるでしょ、みたいに話をふられてもですね。


どんなにこだわられても、わたし、黒羽根くんに食べられたくないですから……!