「俺はいつも冷静だ」

「そうね。セロは如何なるときも物事を客観視できる。それは認めるわ」

「わかったなら下がっていろ」


いかないで、先生……!


「大丈夫。見捨てたりしないわ」


にっこり微笑んでくれる如月先生。


わたしの視線から

心の叫びを汲み取ってくれたらしい。


「邪魔をするなら――」

「気づいてないの?」

「……なにをだ」

「あなた、これまでなかった"感情"を持っちゃったように見えるわよ」

「わけがわからないことを言うな。感情など不要だ。手に入れる価値もない」


黒羽根くんには、感情が、ない……?


「これ以上、柚月さんのこと食べて。彼女が目を覚まさなくなったらどうするの」

「かまうものか。動きまわらなくなれば――その方が管理しやすい」

「そんなことして。味、落ちてもいいんだ?」

「うまく味付けするさ」


黒羽根くんの解答に、背筋が凍りつく。


見た目は高校生なのに、中身はやっぱり残虐な悪魔なんだ。