もちろんそれを信じたわけじゃない。


ただ、まちがいなく言えるのは


この男はわたしに何をするかわからないということ。


甘いマスクをつけているうちは、みんなの王子様。


柔らかい物腰で癒しのオーラをふりまく。


そんな彼は、マスクを外すと


「動くなよ。骨を砕かれたくなければな」


――冷酷無比の悪魔になる。


出会ったが、最後。


解放してくれない。


黒羽根くんは、わたしが死ぬまで利用する気だ。


きっと言うことをきかせるなら縛り付けたり串刺しにすることさえ抵抗ないし、人の心を書き換えたり上書きすることにも罪悪感ないんだ。