成長がみどりを父から遠ざける。

職人の父を格好悪いと思うようになる。

みどりはスーツを着て仕事をするような父親に憧れた。

知的で上品な。そういう父親と一緒に、買い物や食事に行きたい。

小さな憧れがみどりを父から引き離す。
 
父が家にいる時は、自分の部屋で過ごすみどり。

小学校高学年の頃から。いつも遅くまで誰かがいる茶の間の雰囲気を嫌悪して。

父の大きな笑い声を聞くだけで、みどりはイライラした。
 
父が眠ると、みどりは部屋を出て片付けを手伝う。

母とは話したかったから。部活や進学のことなど。

父を避けることで、そういう時間さえ満足に持てなかった。