10月半ば、みどりは元気な男の子を出産した。

孝明の喜びに反して、みどりは絶望していた。

みどりが産んだ男の子は茂樹の子供だった。

生まれた子を一目見て、みどりは確信した。
 
細い顎の輪郭、薄い瞼、眉間に皺を寄せて泣く顔。

恐ろしいほど茂樹に似ていた。
 
「可愛いな。どっちに似ているのかな。」

産まれた子を愛おし気に抱く孝明。

曖昧に微笑むみどり。

絶対に孝明の子供として育てなければいけない。