みどりの実家を出て少し走った路肩に車を停めると、孝明はハンドルに伏して泣いた。

誰もいない車の中。孝明は声を上げて号泣する。
 
大翔の小さな手や、しなやかな髪の感触を思い出す。

まだ愛おしい。

自分の子じゃないと知っても。

もう会わないと決めたから。

大翔も悠翔も、孝明の中では6才と3才のままだろう。
 
本当に手放していいのか。

何とか許せるのではないか。

昨夜から繰り返す思いを断ち切るように、孝明は思い切り声を上げて泣き続けた。