みどりの心は、いつも満たされなかった。小さな頃からずっと。

口に出せない不満。父も母も一生懸命働いていたから。それはわかるけれど。

みどりの理想の家庭とは違う。
 
もっと上品な両親がいい。優雅で知的な家庭がいい。

そんな家で育てば、もっと優秀になったかもしれない。

大きくて古い家もみどりは不満だった。狭くてもおしゃれな家が良いと、いつも思っていた。
 
学校では明るく活発で、友達の多いみどりの心の影。

誰にも言ったことはないけれど。多分、誰も気付いていない。

でもそれが、少しずつみどりを歪めていく。自分でも気付かないうちに。