「昨日わかって。一晩考えたけど、どうしても今のままは暮らせません。すみませんが離婚したいと思います。」

静かに話す孝明。
 
「ちょっと待ってくれ。急過ぎて。よくわからないよ。」

答える父も苦悩の表情になる。

「お父さんの動揺はわかります。でも、俺はもう子供達と一緒にはいられない。」

孝明は言葉に詰まる。 

涙を堪えるように沈黙した後で、
 
「色々な手続きはこれからするので、みどりと子供達をお願いします。」

孝明はそう言って父に頭を下げた。
 
「孝明君、ちょっと待ってくれ。何とかならないのか、みどり。本当のことなのか?」

結論を急ぐ孝明を、父は抑えようとする。
 
「大翔が俺の子じゃないことは、変えられないので。もうどうしようもないんです。」

孝明の声は震え涙が流れる。
 
みどりは初めて孝明の涙を見た。

孝明は深く傷付いている。

みどりが孝明を傷付けた。

これからどうやって生きていくのか、孝明だって途方に暮れている。

みどりは座卓に伏して号泣した。