直斗さんはなにを思うんだろう。
テーブルの向かいで寡黙にケーキを口に運んでいる。

彼もまた両親のためとはいえ、嘘をつき続けていることを後悔しているんだろうか。
そうであってほしいとも思う。

ひとを騙して平然としていられるような冷えた心の持ち主だったら、一緒に暮らすことに耐えられそうもない。

いっそ早くきれいに終わりにしてしまえたら、と罪悪感にかられてそう願ってしまう。

このまま一緒過ごす時間が長くなればなるほど、直斗さんへの想いは強く深くなってしまうから。