【完結】その口止め料は高すぎますっ

開けてみて、かるい驚きに捕らわれた。

どの色も、これ以上は削れないというところまで短くなって、何色かは欠けている。
ちびた色鉛筆がずらりと並んでいる様は、ある意味圧巻だった。

使っていたのは直斗さんと考えるのが自然だ。
子どもの頃から、こんなにも色彩と描くことを愛していたんだと、そしてその情熱を今なお持ち続けているのだと、色鉛筆たちはどんな言葉より雄弁に物語る。

嬉しい、とわたしは今、感じている。
好きになったひとがいて、彼の内面に触れられた気がして、それだけでとても嬉しい。

そっと元の場所に戻す。
頃合いを見計らっていたように、玄関のインターフォンが鳴った。