彼のご両親に初めて会うというシチュエーションに加えて、お見舞いでもある。
さらには婚約者を演じるという。
どんなファッション雑誌にも、そんな場面のお手本メイクは載っていない。

たかがメイク、されどメイク。わたしにとっては気持ちを整える大切なものだ。
服装は、悩んだ末にこれ以上ないくらいコンサバな紺色のワンピースに決めた。

メイクは…と。好感度メイクの基本はやっぱりパステルカラー。でも、きちんとした雰囲気も出したいな。
ピンクのアイシャドウをチップで細くまぶたの際に入れてから、ベージュでぼかしていく。
香帆ちゃん直伝のテクニックで、最初に濃い色を入れてからベースカラーでぼかす、名付けて “忍ばせシャドウ” だ。

チークは甘さ控えめなモーブピンクで、リップも色味を統一した。

これでどうかな、礼儀正しそうに見えるといいけど。願いながら直斗さんのもとへ。