そうして念願の独立をはたしたのは、去年のことだ。

大好きな美容を仕事にして、生き生きと活躍している香帆ちゃんは、いつもわたしの憧れだった。
わたしがメイク好きになったのも、香帆ちゃんの影響が大きいと思う。

そんな香帆ちゃんも、フリーランスになってからは順風満帆とはいかなかった。

雑誌のビューティー企画やファッションショーのメイクを手がけたいと意気込んでも、無名に近い香帆ちゃんに、なかなか仕事は回ってこなかった。
それでも懸命に売り込みに回っているうちに、思いがけないところから道が開けた。

以前香帆ちゃんがブライダルメイクを担当した出版社勤務の女性が、メイク雑誌の編集担当になったのだ。
香帆ちゃんのメイクの腕前に感動して名刺交換をしていた彼女は、SNSを通して連絡をくれたという。

そこから少しずつ雑誌のメイクの仕事が舞い込むようになった。