「無事に婚約者役を務めてくれたら、牧瀬さんがとあるイベントでこっそり働いていたことは、誰にも口外しない」
卑怯です、と言いたくて言えないのは、小原さんに弱みを握られてしまっているから。
「たまたまバックヤードの風景を撮影させてもらったら、知ってる女性が写り込んでたけど、その画像もどこかにアップしたりはしないから」
絶対たまたまじゃない、と思いつつ全身を冷や汗がつたう。
あくまでも爽やかに「というわけで、今日からよろしくね牧瀬さん」と告げる彼に、わたしは力なくうなずくしかなかった。
卑怯です、と言いたくて言えないのは、小原さんに弱みを握られてしまっているから。
「たまたまバックヤードの風景を撮影させてもらったら、知ってる女性が写り込んでたけど、その画像もどこかにアップしたりはしないから」
絶対たまたまじゃない、と思いつつ全身を冷や汗がつたう。
あくまでも爽やかに「というわけで、今日からよろしくね牧瀬さん」と告げる彼に、わたしは力なくうなずくしかなかった。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)