藍色の夜


「はぁ?何言って...」

「月がっ...!月が綺麗ですね、って...そう言いたかったの。窓の外見て。私感動しちゃって...この感動をじん君と共有したかったの。」

彼の訝しげな声を遮って、私はずっと伝えたかった想いをその一言に閉じ込めた。

「それだけ...だから。...眠かったよね、邪魔してごめんね。...おやすみ」

「っちょ...おい...!!」

彼の引き留める声が聞こえたけど、私はそれが聞こえてないフリをして電話を切った。

彼はきっと、月が綺麗ですねの意味くらい知ってると思う。