庚の言葉を聞いた瞬間、私の頬は熱くなった気がする。

「……大切な人、ねぇ……その言葉を聞くとさ……苛立つんだよね!」

「……っ!」

ルトは素早く庚に近づくと、斬りかかった。庚は何とか攻撃を刀で防ぐけど、庚の持ってた刀は弾かれる。

「庚!」

利希は、走って庚に近づこうとした。私たちの方を向いた庚は、片手を利希に向ける。

「……っ」

利希の体は吹き飛んで、私たちの近くの床に叩き付けられた。

「瞬時に結界を張って、俺を吹き飛ばすって……どれだけ強い力なんだ……庚、神様になったばかりだろ……」

体を起こしながら、利希は庚を見つめる。

「仕方ありませんよ。庚の前世は、神様なので……それにしても、強すぎますね」

「もしかしたら……ライヤ様の力をそのまま受け継いだのかも」

葵の言葉に、私はそう返した。

「ライヤ様の場合、怒れば怒るほど神様の力は強くなってくみたい……昔、ライヤ様はそう言ってた」

「そうなんだ……でも、庚は何を考えてるんだ?」

結界に手を触れて、利希は庚を見る。

「分からない……」

「庚は、何を考えてるの?皆を結界に閉じ込めて」

私たちと同じことを考えていたのか、ルトは綺麗に地面に着地すると庚を見つめた。