目から零れたその星は、空に向かって消えていく。手元に残らないから、本当に星が流れたのか疑ってしまう。でも確かに私の瞳からは青く輝く星と、鈴のような音が溢れていた。そんなファンタジーなことがあるのだろうか。そもそも「星」が流れるってなんなんだ。
ネットの検索バーに「涙 星 鈴の音」と打ち込んでみる。単語の並びだけ見れば何の関連性もないし、やっぱりどこかファンタジーに見える。こんなのでなにか結果が見えるとも思わないけど、図書館で調べるよりは手っ取り早いだろうと、とりあえず検索ボタンを押してみる。
検索結果の1番上に出てきたのは、「星涙病」という言葉。実在する病気ではなさそうだ。1番上に出てきたからと言って私に当てはまるとは思わないけれど、気になったのでサイトを開いてみる。
『星涙病』
片思いを拗らせると、星が涙に変わってしまう病気。
星涙が流れると、音が鳴る。
症状が重い場合、視細胞が失われ、色彩を感じ取れなくなってしまう。また、稀なケースで記憶を徐々に失っていくことも。
好きな人と両想いになると治る。
出てきたのは都市伝説のような病気の説明文。さすがにこれはないか、と思いたいけれど、私の状況からするとあり得ない話ではない。そもそも涙が星に変わるという事柄そのものがどこまでも非現実的なのだから、認めるしかない。
「星涙病かぁ…」
治療法は好きな人と両想いになること、としか書かれていない。もし本当なら、私は色が見えなくなってしまうのだろうか。記憶も失ってしまうかもしれない。
押し込んで押し込んで、心の奥底に沈めた恋心がまさかこんな形で姿を現すなんて思わなかった。常識では考えられない病気。信じる私もおかしいのかもしれないけど、決して綺麗とは言えない感情がこんなに儚く美しい星になって溶けていくのならば、悪いものではないかもしれない。色や記憶と引き換えに、というのは、やっぱり少し怖いけれど。
でも、空の恋路を私が邪魔するなんてことはできないな。誰にもばれないようにしなきゃ。外では泣けなくなってしまったけれどそれは簡単なこと。きっと大丈夫。私なら。
この病気が治ることはないんだな。そう考えると、もう泣かないと決めたはずなのに視界が滲む。
私の目から飛び出た流れ星は、叶わぬ恋と澄んだ鈴の音を乗せて、暗くなり始めた冬の夜空に帰って行った。
ネットの検索バーに「涙 星 鈴の音」と打ち込んでみる。単語の並びだけ見れば何の関連性もないし、やっぱりどこかファンタジーに見える。こんなのでなにか結果が見えるとも思わないけど、図書館で調べるよりは手っ取り早いだろうと、とりあえず検索ボタンを押してみる。
検索結果の1番上に出てきたのは、「星涙病」という言葉。実在する病気ではなさそうだ。1番上に出てきたからと言って私に当てはまるとは思わないけれど、気になったのでサイトを開いてみる。
『星涙病』
片思いを拗らせると、星が涙に変わってしまう病気。
星涙が流れると、音が鳴る。
症状が重い場合、視細胞が失われ、色彩を感じ取れなくなってしまう。また、稀なケースで記憶を徐々に失っていくことも。
好きな人と両想いになると治る。
出てきたのは都市伝説のような病気の説明文。さすがにこれはないか、と思いたいけれど、私の状況からするとあり得ない話ではない。そもそも涙が星に変わるという事柄そのものがどこまでも非現実的なのだから、認めるしかない。
「星涙病かぁ…」
治療法は好きな人と両想いになること、としか書かれていない。もし本当なら、私は色が見えなくなってしまうのだろうか。記憶も失ってしまうかもしれない。
押し込んで押し込んで、心の奥底に沈めた恋心がまさかこんな形で姿を現すなんて思わなかった。常識では考えられない病気。信じる私もおかしいのかもしれないけど、決して綺麗とは言えない感情がこんなに儚く美しい星になって溶けていくのならば、悪いものではないかもしれない。色や記憶と引き換えに、というのは、やっぱり少し怖いけれど。
でも、空の恋路を私が邪魔するなんてことはできないな。誰にもばれないようにしなきゃ。外では泣けなくなってしまったけれどそれは簡単なこと。きっと大丈夫。私なら。
この病気が治ることはないんだな。そう考えると、もう泣かないと決めたはずなのに視界が滲む。
私の目から飛び出た流れ星は、叶わぬ恋と澄んだ鈴の音を乗せて、暗くなり始めた冬の夜空に帰って行った。
