───ガラガラ───

「ごめんな、少し遅れた。」
先生は申し訳なさそうに言う。

今は夜7時。すっかり日は沈んで、室内は昼よりも少し暗くなっている。

「大丈夫ですよ。」

「これ、飲む?」

先生が私に差し出したのは今人気のカフェのキャラメルマキアートだ。

ずっと私が飲みたかったものだ。
確か、1時間ぐらい並べないと買えないらしい。

「これ、今人気のやつですよね。
すごく並ばないと買えないやつですよね。
なのになんで……?」

「入院中病院食だけ食べるの嫌だろ。
眼科だから食事制限とかないし。」

「先生〜!!!ありがとうございます!
いただきますっ!」

久しぶりに食べた甘いもの。

思わず笑みがこぼれる。

「美味しい〜!」

この時の先生の気持ちを私は知る由もない。