「いや、特に理由はないんだけど。なんとなく一緒に行こうかなと思って」





髪をくしゃっと握る。






「いや、違うな」


「?」


「俺、最近あの時のことが気になってるんだよ」



「あの時?」


どの時……?


「付き合ってる時の……するとき俺、倉橋に拒否られただろ?」


拒否った……まあ、拒否ったようにしか見えないよね。




「うん、ほんとごめん」


「理由も聞かずに俺、別れたから……」



「うん……?」


「理由を知りたいんだ」




理由…理由なんて言えない。
トラウマのせいだなんて。




処女じゃないなんて。




もう2度と話してくれなくなっちゃう。




「ごめ……」

「ごめんじゃわかんねぇんだよ……」



言えない。