「詩音、お腹減っていないか?」
「え、お腹は減ってないですけど……喉が渇いたので飲み物買ってきますね! 霞さんは何が良いですか?」
「いや、俺の分は……」
「遠慮しないでください! 今日わざわざ来てもらったお礼です!」
「なら、詩音に任せる。……かたじけない、次は俺が出す」
そして、わたしはテイクアウト専門のカフェへ向かった。
場所もそんなに離れてないし、きっとすぐ戻れそう。
人もそんなに並んでもいないし、というかあのカップルだけ……
って……あれ……
「詩音……? え、何でここに……?!」
「春樹……どうして」
わたしの前に並んでいたのは春樹。どうしてこんなとこに?
「関係ねーだろ。お前こそ一人でどうしたんだよ?」
「ふっふっふっ、霞さんとデート中なの。春樹は一人なんでしょー?」
わたしがにまにまと問いかけると、春樹は眉をひそめた。
「あいにく俺も一人じゃねーよ。……って、詩音……霞さんとって……」
「ん……?」
「……っ! おい、ついて来い! 急ぐぞ!」
春樹はわたしの腕を強引に引っ張って店を飛び出した。
訳も分からないまま連れてかれるわたし。
「ちょっ……! 離して!」
「おい、抵抗すんな! ほら、行くぞ……っ!」
止まろうと抵抗しても力には敵わず、また引っ張り出されてしまう。
春樹は一体わたしをどこに連れ出そうと……ってさっきわたしと霞さんがいたベンチの方じゃん……
そして、やっと見えてきたベンチに霞さんの姿はなかった。
「……やっぱり」
分かっていたかのように呟く春樹。
何……どういう事?


