触れたい指先、触れられない心


「分かったから、何度も同じ話してんなよな!」
「だってー……聞いてほしいんだもん」
「あのなぁ、耳にタコができるほど聞かされてるぞ。やっと会えたからってテンション上がりすぎだ」

 そういってわたしを睨むのは、親友のマコ。
 嬉しくて霞さんとのことを語っていたら、どうやらうっとうしがられたみたい。


「そういや、もうすぐデートの時間なんだろ?」
「あっ!! そうだった……って、デートって言っていいのかな……?」
「……知らねーよ。でも、二人で過ごすんならデートだろ」

 そっか……
 って事は、わたし……霞さんとデートできるって事?

 どうしよう、一度家に帰ろうかな……こんなただの制服で霞さんに会うなんてー……



「ねぇ、マコ。一旦家に帰って着替えた方が……」
「……詩音、残念ながらもう遅いみたいだぞ」




「え……? ――……あ」


 マコの視線に目を向けると、霞さんがいた。
 夕方の風に、霞さんの長い髪がサラリとなびいて、いつもより一層綺麗に見えた。



「あっ……待ちましたか?」
「いや、少し早めに着いてしまっただけだ。気にするな」

 霞さんはそう返すと、こちらに歩いてきた。



「アタシは帰るからごゆっくりー」
「えっ、ちょっ……マコ?!?!」


 マコは何かを察したみたいで、そそくさと帰っていった。

「……良かったのか?」
「は、はいっ! また明日も会えますので!!」


「ところで、一旦家に帰りたかったんだろ?」
「それは……せっかく霞さんと会うのに制服じゃ……釣り合わないかなって思って」
「そんなことは気にしなくて良い。詩音はそのままが良いと思うのだが……それでは足りぬか?」


 霞さんにそんな満足すぎる言葉をもらえるなんて思ってもなく、わたしの顔は一気に温度を上げた。

「い、いえ……ありがとうございます」

 周りから見て、わたしと霞さんはどう見えてるんだろう、恋人に見えてたらいいのにな……なーんて、こんな素敵な人と恋人になんて見えるわけないのに。

 どうしたら霞さんとお似合いに見えるんだろう……。