「こ……こんばんは」


「龍の奴、酔っぱらって。
 今、布団にバタンと倒れたところ。
 あ~。もう寝ちゃったし」


「龍兄が迷惑をかけてすいません」


「桃ちゃんが謝ることじゃないでから。
 気にしないで。
 龍が酔っぱらうと
 いつもこんな感じだから。
 そうそう、ちょっと聞いてもいい?」


「え?」


「十環って、今
 桃ちゃんと一緒じゃないよね?」


「一緒じゃないですけど」


「だよね。
 私も桃ちゃんと一緒にいるわけないって
 思ったんだけどさ。

 龍の奴が『十環が帰ってこない』って
 心配しだして。
 桃ちゃんに電話かけるって聞かなくて。
 私言ったのよ。
 どうせ、TODOMEKIに
 いるんじゃないのって。

 酔っぱらった時の龍はさ
 言い出したら聞かないから」


「十環先輩、帰ってないんですか?」


「そうなの。
 8時半頃かな。
 私たちに何も言わず
 外に出て行ったんだけど、
 それから帰ってなくてさ。

 あ、桃ちゃんは心配しなくていいからね。
 十環だってもう18歳だし。
 朝までTODOMEKIにいることだって
 よくあることだからさ」


「……はい」


「本当に、こんな時間にごめんね。
 私も桃ちゃんに会ってみたいからさ
 今度、我が家に遊びに来てね」


「ありがとうございます」


「じゃ、おやすみ」


「おやすみなさい」