白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集


 電車の中でも
 駅から家まで歩いて帰る時でも
 ハムハムは5メートル以上離れたまま
 無言でついてきてくれた。


 そして家までついた時
 私はハムハムにかけよった。


「……ごめんなさい」


「桃華、そういう時はさ
 笑って『ありがとう』だろ?」


「……ありがとう」


「笑顔がないけど、まあ
 桃華にしては上出来だな。

 さっきも言ったけどさ、
 十環は
 好きでもない女に告白するような
 薄情な男じゃないからな。
 あいつのこと、ちゃんと信じてやれよ」


「……うん」


 ハムハムは『おやすみな』と微笑んで
 駅に向かって歩き出いて行った。