白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集


「十環先輩。
 明日の午後って空いてますか?

 虎兄から、十環先輩に渡してって
 預かってるものがあって。

 お店の手伝いが終わってからだから
 2時くらいとか」


「ごめんね。桃ちゃん。
 明日は予定があるんだ。
 また今度でも、いい?」


「……はい」


「じゃあ公星さん、桃ちゃんのこと
 よろしくお願いします」


 促されるまま
 ハムハムのバイクにまたがり
 十環先輩の方を見た。


 とびきりの笑顔で
 私に手を振ってくれた。


 十環先輩。

 その笑顔の裏に
 隠しているんですよね?

 私への拒絶感を。


「桃華、しっかりつかまってろよ」


 その言葉とともに
 バイクは走り出した。


 まるで、私の居場所は
 十環先輩の隣ではないことを
 教えてくれるかのように。