「俺さ、お前に謝んねえとな」
「え?」
「十環がお前のこと好きになる理由
わかるような気がするわ」
「は?」
「だから……
結愛ちゃんよりお前の方が
人として魅力的だって言ってんの」
「……急に何よ。
それに、ハムハムは
結愛さんに会ったことないでしょ?」
「無い」
「気休めなら、いらないから」
「結愛ちゃんには会ったことないけど
十環が高校に入ったくらいから
結愛ちゃんのことは
あいつから聞いてたから。
絶対に結愛ちゃんよりお前の方が
面白い!」
「面白いって……
褒められた気が全くしないんだけど」
「一応、褒めてるつもりなんだけどな。
ま、お前、
褒められても素直に受け取る
タイプじゃなさそうだし
褒めても無駄かぁ。
俺がお前に言いたいのは
相手が十環なら大丈夫じゃね?
ってこと」
「え?」
「俺はさ、十環が中1の時から
あいつのことを知ってるわけ。
さっきはお前に
『龍牙さんに脅されて
お前と付き合ったんじゃ?』とか
無責任なこと言ったけどさ。
十環に限って
そんなことは無いと思うぜ。
好きでもない女に告るような真似は
絶対しない男だから」
「信じていい?」
「ああ。
十環がお前のことを好きじゃなかったら
俺の頬、思いっきり殴っていいぞ」
「私、手加減しないよ」
「ま、お前に殴られる前に
俺が十環をボコボコにするけどな」
「ちょっと。
十環先輩を痛めつけたら
タダじゃおかないから!」
私は唇を尖らせ
ハムハムの背中をボンボン叩いた。
ハムハムは「全然痛くねえな」と
また声を出して笑っている。
その時
背中から声がした。



