白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集


 ダメだ。
 涙が止まんない。


 人前で泣くなんて
 絶対に嫌なのに。

 涙なんて出るなって
 必死に命令しているのに。


 私の思いに反して、
 大粒の涙があふれてくる。


 その時、優しい声が耳に届いた。


「これでも飲め」


 そう言って差し出されたのは
 無糖の缶コーヒー。


 命令口調のハムハムの声が
 明らかに優しさを纏っていて
 余計に涙が止まらない。


「……いらない」


「いいから、飲めよ」


「……甘いミルクティーがいい」


 かわいげもない私の言葉に
 ハムハムが私の頭を優しく撫でた。


「今、買ってきてやるから」


 穏やかに笑ってそう言うと
 ハムハムはコンビニの中に
 入っていった。

       ☆つづく☆


 短編集のはずが
 虎兄の恋ばな同様
 今回も長くなりそうですm(_ _)m