☆十環side☆

 最近の俺。
 
 高校を卒業し
 桃ちゃんに会えないことが
 寂しくてしかたがない。


 だから今朝
 『十環先輩、助けてください』って
 電話がかかってきたときは
 飛び上がるほど嬉しかった。


 桃ちゃんは俺と話すどころじゃなくて
 用が済んだら
 すぐに電話を切られちゃったけど。


 それでも
 朝から桃ちゃんの声が聴けたことが
 嬉しくてしかたがなかった。


 は~。


 桃ちゃん
 今は何をしているかな?

 電話に出てくれるかな?


 俺って、こんな軽い性格じゃ
 なかった気がするけど。


 大好きな桃ちゃんに
 俺の性格まで変えられることが
 ちょっと快感だったりする。


 龍牙さんのことで
 桃ちゃんに電話をかけようと
 スマホの画面を見ると、
 桃ちゃんからメッセージが届いていた。


 俺、龍牙さんに付き添っていたから
 全然気づかなかった。


 画面を開くと

『龍兄がどこにいるか
 知らないですよね?』
 

 1時間も前に
 俺に送ってくれていたんだ。

 気づかなくて、ごめんね。


 そう心の中でつぶやき
 桃ちゃんに電話をかけた。