「龍兄かぁ……。
 俺よりも龍兄の方が
 清香にはお似合いかもな……」


「は?」


「なんでもない」


「虎兄さ
 もっと清香さんに優しくしてあげたら?」


「……清香が言ったのか?
 俺が……優しくないって?」


「逆だよ。
 虎兄のこと、優しいって笑ってたよ。

 でもさ虎兄は
 子供の頃から叩き込まれてきたから
 お客さんには優しく笑えるでしょ。

 それなのにさ
 心許している人には
 とことん冷たいじゃん。

 目つきとか言い方が
 キツイって言うかさ」


「……まあな」


「虎兄にキツイ言い方されて 
 私は言い返すけど
 清香さんは言い返してこないでしょ。

『虎兄に怒られても
 その後、優しく頭を撫でてくれるのが
 嬉しい』って
 清香さんは言ってたけどさ。

 誰だってきつく怒られたら
 そりゃ嫌だからね。

 もっと優しく言ってよって
 思っちゃうからね。

 清香さん。
 虎兄のことが好きすぎて
 我慢して笑ってるのかなって
 ちょっと思っちゃったりもしたからさ」