「もしかして……
 六花が桃ちゃんに
 そんなことを言ったんですか?」


「アハハ。冗談だよ。
 冗談に決まってんじゃん。

 一颯っちって
 悪徳商法に引っかかりやすい
 タイプでしょ!
 気を付けてね」



 恋都さんは俺の目の前で
 声を出して笑い続けている。


 早く、この人の前から消えよう。


 恋都さんといると
 俺の心が海よりも深く沈んで
 浮かんでこなくなりそうだから。



「恋都さん、俺、もう帰りますから」


「え~。
 せっかく一颯っちに会えたのにさ。
 もっとお話ししようよ」


「結構です」


「そんな
 悪魔みたいな目で睨まないでよ。
 あ! そうだ!
 今からおいでよ。俺の家」


「は?」



 なんで俺が?


 友達でもない
 まともに話したこともない
 恋都さんの家に
 行かなきゃいけねえんだよ。