「だって龍牙さん。
 隣の部屋に俺がいると思ったら
 テンパってダメダメになりそうだから」


「ダメダメってなんだよ」


「アハハ。冗談ですよ。
 でも、これは本気で思ってます。

 姉さんの相手が務まる男は
 龍牙さんしかいないって」


「十環……」


「あ、逆もか。
 龍牙さんを相手にできる女性も
 姉さんくらいしかいないだろうなぁ」


 十環は俺に助けられているって
 よく言ってくれるけど。


 俺も、十環に助けられている
 ことだらけだな。


 俺が言って欲しい言葉を
 さりげなく伝えてくれる。


 そして、実はビビってる俺の背中を
 そっと押してくれる。


「龍牙さん。
 姉さんと、バトルゲーム
 楽しんできてくださいね」


「ああ」


 俺は十環に笑顔を向けると
 小百合の部屋に行くために
 一人、階段を上って行った。