「別に……
お前のことなんて……
必要としてねえし」
「そうだよね……」
おい! そこ!
いつも通り突っかかって来いよ!
『私も龍のことなんて
必要としてないし!』くらい
言い返して来いよ!!
調子狂うじゃん。
『そうだよね』と言った小百合の瞳が
一瞬陰りを見せた気がして
俺の気分まで沈む。
「小百合はどうしてるわけ?」
「え?」
「お前さ、俺に弱みとか見せないじゃん。
おばさん達にも見せられないだろ?
性格的に。
辛いときとか、どうしてんだよ。
友達に愚痴ってんのか?」
「……友達なんて……いないし」
「は?
一人くらいいるだろ?
学生の頃の友達とか」
「いないよ。
学生の時は、ハブられてたし。
一人でいる方が楽だったから」
まじか……
俺が小百合と知り合ったのは
十環をトドメキに入れたいって
この家に頭を下げに来たときだったから
6年位前。
俺と小百合が、高2の時。
高校も違うし
小百合と会っても
友達の話なんて一切してこなかったから
俺も気にも留めていなかったけど。



