白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集


 戻って来た小百合は靴を脱ぐと
 ブルーシートの上に座り
 桜を見上げた。


 そしてさりげなく
 隣に座る俺に聞いてきた。


「もう大丈夫なの?
 清香(きよか)さんのことは」


「……ああ。 
 今は、なんとも」


「龍ってすごいよね」


「何が?」


「だってさ
 辛いことからすぐに立ち直るじゃん。

 いつもそう。

 この家に泣きに来るときはさ
 どう声をかけたらいいか悩むくらい
 大泣きなのに。

 数日後には
 こうやってケロっとしてて。

 引きずるとか、ないわけ?」



「はぁ? 
 俺だって、引きずることくらいあるし。

 でもさ
 お前に話してゲームしてると
 なんかすっきりはするかな」



「ふうん。
 私のことを、必要としてくれてるんだ」



 俺を見て
 ニヤリと笑った小百合のどや顔。


 どうした? 俺!


 憎たらしいほどの、どや顔なのに
 こんな表情でさえも
 かわいく見えるなんて!