「龍兄が帰っちゃいそうで
 焦りましたけど」


「俺も心配で
 階段の上からずっと覗いていたんだよ」


「小百合さんが出てきてくれなかったら
 龍兄、
 間違いなく帰ってましたね」


「いい感じでしょ、あの二人。
 絶対にお互い、意識しているから」


「あ、私。
 十環先輩のお母さんのところに
 行ってきますね。
 この前のこと、謝らなきゃ」


「謝らなくても大丈夫だよ。
 俺から母さんに、上手く伝えとくから」


「そういうわけにはいきません。
 ちゃんと自分から謝らないと。
 私が嫌なので」


「桃ちゃんらしいね。そういうところ。
 じゃあ、その前に」