十環先輩のお母さんと龍兄の後に続き
 リビングに入ろうとしたとき。


「桃ちゃん、いらっしゃい」


 廊下から大好きな声が。


 振り向くと
 階段の前に十環先輩が。


 リビングに入るのをやめ
 十環先輩の元へ。



「桃ちゃん、ありがとう」


「え?」


「約束通り
 俺の家に龍牙さんを連れてきてくれて」



 目がなくなるほど
 優しい笑顔を見せてくれた十環先輩。


 私、この笑顔が見たかったんだ。

 私だけを見つめて
 王子様みたいに微笑むこの表情を。