私っていつから
 家族をだましてまで
 自分の欲望を叶える女に
 なっちゃったんだろうな。


 中学で番長だった頃の私は
『そんな卑怯な女に絶対になりたくない』
 って、
 頑固なほど強く
 思っていたはずなのに。



 自分のことが情けなくなった。

 自分の頬を
 思いっきり殴りたくなった。


 私が勢いよく
 かぶっていた布団をめくり上げた時
 ドアをノックする音が。


「桃……いいか?」


「……うん」


 ベッドの上に座り込む私に向かって
 入り口に立ったままの龍兄が
 話し始めた。