「桃、素直に謝れば大丈夫だから がんばれよ」 私を心配してくれているのがわかる 優しい龍兄の瞳。 その瞳に流されて 結局私は 龍兄の部屋を後にした。 自分の部屋のドアを開けようとしたとき 突然襲われた悔しさ。 十環先輩に 『私に任せてください』と 言い切ったのに。 『やっぱりダメでした』なんて伝えたら がっかりさせてしまう。 私が見たいのは 暗い顔をした十環先輩じゃなくて。 『桃ちゃん、ありがとう』って 私だけ向ける、サイコーの笑顔だから。 私はもう一度 龍兄の部屋のドアの前に来た。