こういう時は……


 そうだ!

 つい言うことを聞いてあげたく
 なっちゃう六花を思い出せ!

 ウルウルした瞳で
 かわいく私に甘えてくる
 六花を真似するんだ!


 私はさりげなく、後ろを向いた。


 ウルウルな瞳を作るために
 高速まばたき。


 もっと早く、もっともっと早く!


 バカバカしいことをしていることは
 十分に承知。


 でも、そんなことは言っていられない。
 すべてはご褒美のため。


 瞼の下に指を当て
 潤いを確認。


 良し!いける!


 そして、龍兄の方を振り返ると
 潤んだ瞳で龍兄を見つめた。