「桃、何の用だよ」


「龍兄……あのね……」


「お前さ
 十環に何か吹き込まれたろ?」


「え?」



 龍兄は、警戒しているような瞳で
 私を睨んでいる。



「十環先輩に?
 なんのことかな?」



 まずい。

 このままだと
 ミッションが失敗に終わってしまう。


 十環先輩が私のために作ってくれた
 『ご褒美』を手に入れるためには

 どんな手を使ってでも
 龍兄を十環先輩の家に
 連れて行かなきゃいけないのに。