なに? この人たち!

 明らかに私のことを
 睨んでいるし。


 とりあえずここは
 穏便に済ませよう。


 私は最大限の笑顔を作ってみた。


 でも……

 私の笑顔、全く効果なし。


 そりゃそうだよね。

 だって私 
 笑顔より、睨むのが得意だもん。


 その時一人の男が
 私に話しかけた。


「その自転車、あんたの?」


「そうだけど」


「どこの族の子?
 オンナ使って、俺たちの中に
 入り込もうとか企んでる?」


「なによ、それ!
 私がそんなこと、するわけないでしょ」


「高校生だよね?
 名前と、高校名教えろよ」


「なんで名乗らなきゃいけないわけ?
 ちょっと自転車を
 置かせてもらっただけじゃん」


「なんで名乗れねえんだよ。
 おまえ、ぜってえ
 どっかの族に入ってんだろ?
 どこだよ。答えろよ」


「だから
 ただの女子高生だから」


「ただの女子高生が
 背中にがっつり龍の刺繍が入った
 ジャージ着て、
 鋭い目つきで睨むかよ。

 本当のことを言うまで
 自転車は返さねえからな」


 もう!

 こっちは眠すぎて、頭もいたいし
 イライラしてんだからね!!


 こんな人たちと話してても
 埒が明かない!!