「ええとね。つい一昨日なんだけど。私、特待生として雅月高校に編入を勧められて。それで…」
「は、雅月に通ってんの?」
驚きを隠せないような楓空兄の顔。
「う、うん」
頷くと、ハアッ!?とたじろいて、バッ!っと勢いよく立ち上がった。
「なんで俺に教えてくれなかったの⁉︎母さん」
「ごめんねぇー、すっかり忘れてたわぁ。あはは」
気がつけばお母さんは、片手にビールを持っている。いつの間に。
しかも顔がちょっと赤い。酔っ払ってる。
「でも七海すごいのよぉ〜、あやめ高校でっ1人だけ、チョーむっずかしい問題、解けたんだからぁ〜。きっと、私とお父さんと、楓空に似たんだわぁ〜」
…いや、お母さんかお父さんか楓空兄の誰かに似なくて誰に似るのよ。

