彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加





「…………………はっ?」


 目を丸くしてマヌケな声を出す楓空兄に、私も固まる。


「え?」

 もしかして、お兄ちゃん、聞いてなかった…?とか?


「え、七海ってあやめ高校に通ってんだよな。転校って、何?」


「お母さん、まさか…」


 テーブルで美味しそうにチキンにかぶりついているお母さんに目を向けると、あっけらかんとした表情で呟いた。


「そーいえば、まだ楓空には言ってなかったわねぇ」


 え、嘘。てっきり報告したとばっかり。

「七海、転校したの?なんで?どこに?いつ?聞いてないんだけど」