彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加


「それより、やっぱりこれチキンよね?七海の手作りもサイコーだけど、たまにはこういうのもいいわね」


 あ…。

 お兄ちゃんと同じこと言ってる。

 思わずふふっと笑ってしまう。

「どうした?七海」


 隣に座っているお兄ちゃんが不思議そうに見てくるけど、その顔もお母さんに似ている。


 私はちょっとお父さん似なんだよなぁ。


 …あっ。お父さんといえば。

 いけないいけない、忘れるとこだった。
 図書室での約束。

 立ち上がると、お兄ちゃんが、どうしたの、と聞いてくる。


「ええとね、本を貸す約束してて」

「へぇ。それって…誰だっけ、友達の…結ちゃんって人?」

「ううん。ほら私転校したじゃん」