「それより、やっぱりこれチキンよね?七海の手作りもサイコーだけど、たまにはこういうのもいいわね」
あ…。
お兄ちゃんと同じこと言ってる。
思わずふふっと笑ってしまう。
「どうした?七海」
隣に座っているお兄ちゃんが不思議そうに見てくるけど、その顔もお母さんに似ている。
私はちょっとお父さん似なんだよなぁ。
…あっ。お父さんといえば。
いけないいけない、忘れるとこだった。
図書室での約束。
立ち上がると、お兄ちゃんが、どうしたの、と聞いてくる。
「ええとね、本を貸す約束してて」
「へぇ。それって…誰だっけ、友達の…結ちゃんって人?」
「ううん。ほら私転校したじゃん」

