彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加


「…えっ、そうなの?」

 それは初耳。でも確かに、チキン系好きそうな顔してるかもしれない。

 てかそんな顔ないんだけどね。


「あとは、たまにはこういうのもいいかなって思って。パーッと食べよう!」


 楓空兄は早速お皿にチキンを移し始める。

 漂ってくる食欲のそそる匂いに釣られるように私もテーブルへ向かった。



「たっだいまー!って、ん!?この匂い、チキンじゃない!?」

 今はちょうど私も楓空兄もお風呂から上がって2人でテレビを見ていたとき。

 玄関のドアが開いて、そんな声が飛んできた。


「お母さん!早かったね!」

「うん、優しい後輩さんが手伝ってくれてね。おかげで予定の半分の時間で仕事片付いたのよー」

 お母さんは大学の講師をしている。同じく大学講師のお父さんとは、まだ若手のときに知り合ったらしい。