「なっ、えっ、えーっと…」


「よぉーく分かってると思うけどね、皐月昴はモテモテなの!中学のときも付き合ってる人がいるとかいないとか…

 知らずのうちに誰かと付き合ってたら、どーすんの!?」


 珍しくド迫力の梨々ちゃんに押され気味になりながら


「それは…イヤだ」


「でしょう!?

後悔するより、言ってほしいの。

や、私のことより自分のペースで考えて…ってあれ?

じゃなくて…その、

私がそれで後悔したことあったから…」


 そこまで言って急に黙り込んだ梨々ちゃんは、きっと過去に何かあったのだろう。

 
「ありがとう。また考えてみる。それから…」


 私は黒縁のメガネをそっと外した。

 風が吹き、顔を撫でていく。


 梨々ちゃんは、また優しい顔で頷いた。


「知ってた。七海が可愛いって。私の可愛いセンサーは結構さえてるのよぉ」


「やっ、全然可愛くは無いんだけどね。メガネじゃ暗いし顔わかんないし」


「うん。うん。なんとなく気づいてた…。鈍感だって…」