これでも私たち、体育祭の代表リレー走者なんだから!
さすがに走って逃げる私たちを追ってくる人もいなくて、近くの公園に入った。
「本当ごめん、俺のせいでこんななって」
「大丈夫…ふふっ、ちょっと楽しかったね」
こんな風にダッシュで誰かと逃げたことなんてなくて、クスクスと笑ってしまう。
昴くんといると、楽しいことばっかりだ…!
「あっ、もうそこ図書館だね。行こうっ」
「…ああ」
楽しみだなっ。知らない本がたくさんあるんだろうなぁ…。
うきうきルンルン、スキップする勢いで図書館への道を急ぐ。
となりには、昴くん。
手を伸ばせば、触れる距離。
最初は遠い人だと思ったけど。こんな近くにいることが今でも夢みたい。
「七海、こっち」
さりげなく車道側を歩いてくれる優しさも。
綺麗な横顔も。
私だけの特権なら、いいのになぁ…。
なんて贅沢なこと考えちゃうよ。

