彼の溺愛は甘い罠 ✎ღ 番外編追加


 これでも私たち、体育祭の代表リレー走者なんだから!

 さすがに走って逃げる私たちを追ってくる人もいなくて、近くの公園に入った。


「本当ごめん、俺のせいでこんななって」

「大丈夫…ふふっ、ちょっと楽しかったね」


 こんな風にダッシュで誰かと逃げたことなんてなくて、クスクスと笑ってしまう。

 昴くんといると、楽しいことばっかりだ…!


「あっ、もうそこ図書館だね。行こうっ」

「…ああ」


 楽しみだなっ。知らない本がたくさんあるんだろうなぁ…。

 うきうきルンルン、スキップする勢いで図書館への道を急ぐ。


 となりには、昴くん。

 手を伸ばせば、触れる距離。

 最初は遠い人だと思ったけど。こんな近くにいることが今でも夢みたい。


「七海、こっち」


 さりげなく車道側を歩いてくれる優しさも。

 綺麗な横顔も。


 私だけの特権なら、いいのになぁ…。
 なんて贅沢なこと考えちゃうよ。